あらすじ

走れメロスのあらすじとネタバレ 読書感想から考察まで徹底解説/太宰治

「走れメロス」は太宰治の代表作で、教科書でもお馴染みの作品です。

誰もが一度は聞いたことがあるタイトルかと思いますが

「実は読んだことないんだよね・・・」

「読んだことはあるけど内容を忘れてしまった!」

といった方も多いのではないでしょうか。

「走れメロス」は短編小説で文章も比較的容易な言葉使いなので読みやすいのが特徴です。

この記事ではそんな「走れメロス」のあらすじやネタバレ・感想などをわかりやすく解説していきます。

「走れメロス」とは?

物語のテーマでもある友情や信頼、正義を肯定的に捉えた道徳的メッセージの強い作品です。

その為、小学校の教科書でも扱われる事があり、多くの子供たちに読まれています。

主人公の心情の揺れ動きを力強い文体で表現されています。

逆境を跳ね除け友情が勝利するラストは、スカッとした清涼感を味わえると思います。

暗いイメージのある太宰にとっては異色作とも言えるかもしれません。

作者名

太宰治

発売年

1940年

ジャンル

短編小説

時代

古代ギリシャ

太宰治のプロフィール

太宰治(本名:津島修治)1909〜1948年 

無頼派の旗手として戦前戦後に活躍した小説家です。

自殺未遂や薬物中毒など自己破滅型の人生を題材とした私小説を多く執筆しました。

青森県五所川原市で名家の六男として生まれます。

高校時代から文学に親しみプロレタリア文学の影響を受け左翼活動に傾倒していきます。

上京し東京帝国大学文学部仏文学科に入学、小説家を志し井伏鱒二に弟子入りします。

芸者の小山初代と実家の反対を押し切り結婚し、分家除籍となります。

それに病んだか女給と無理心中を図ります。

ところが女給のみ死亡してしまい自殺幇助罪に問われますが兄の奔走もあり不起訴となります。

バビナール依存症となり強制入院中に妻の初代が不貞行為が発覚し離別します。

その後、井伏鱒二の紹介で石原美智子と結婚します。子供も生まれ私生活は安定します。

終戦後、「斜陽」を発表し「斜陽族」が流行語になるなど人気作家の地位を獲得します。

しかし、再び生活が荒れてしまい健康状態が悪化してしまいます。

1948年、玉川上水に愛人と入水自殺を図り生涯を閉じます。

【代表作】「富嶽百景」「女生徒」「津軽」「ヴィヨンの妻」「斜陽」「人間失格」

走れメロスの特徴

物語は「メロスは激怒した」というインパクトある言葉で始まります。

力強く明快な文体で構成されている所に特徴があります。

太宰治のこれまでの作品とは異なり、児童文学として子供に読まれることを想定しています。

子供にもわかりやすい文章ですが、洗練された言葉で紡ぎ出す小気味よいテンポがありも物語に疾走感を与えています。

走れメロスの主要登場人物

メロス

牧人の青年。両親はなく妹と二人暮らし。正義感が強く、暴君と化した王のから街を救おうと立ち上がる。

セリヌンティウス

メロスの親友で石工。メロスの人質となり王に捕らえられるが、揺るぎない信頼を寄せる。

ディオニス

人間不信に陥った王。親族や家臣、市民など多くの人を処刑している。

走れメロスの簡単なあらすじ

牧人のメロスは妹の結婚式を控え衣装やご馳走の買い出す為、街に来ていました。

そこで王の良くない噂を耳にします。

人間不信に陥って多くの人を処刑しているというのです。

正義感の強いメロスは短剣を忍ばせ王のもとへ向かいます。

ところが、すぐに守衛に捕まってしまい、王に処刑を言い渡されます。

メロスは妹の結婚式だけは挙げたいと切望し、友人のセリヌンティウスを人質に預け、3日後に戻ると約束します。

もし、戻らなければ友は処刑されてしまいます。

結婚式を済ませたメロスは友の元へ急ぎます。

道中、様々な障害を乗り越え、間一髪間に合います。

信じる心を目の当たりにした王は改心し、群衆は湧き上がるのでした。

 

走れメロスの起承転結

【起】王との取り決め

村の牧人のメロスは妹と二人で暮らしています。

その妹が近々結婚をする運びとなり、衣装やご馳走の買い出しにシクラスという街に来ていました。

シクラスにはメロスの竹馬の友である石工のセリヌンティウスがいます。

しばらく会っていなかったので尋ねてみることにしました。

ところが町の様子に違和感を感じます。

街の老人に状況を尋ねると王のディオニスは人を信用する事が出来なくなり、親族や家臣、市民に至るまで怪しいと感じた者を次々に処刑しているというのです。

正義感の強いメロスは激怒します。

この王を取り除かねばならないと短剣を持って単身、城に乗り込みます。

しかし、すぐに捕まってしまい、王の前に引き出されます。

メロスは王の殺害を企てた事を告白し、人を疑う事の悪徳だと詰め寄ります。

すると王は人間とは口先では正論を述べるが腹の底は私欲の塊だと反論し、メロスに処刑を命じます。

それに対しメロスは死ぬ覚悟はあるが、その前に妹の結婚式だけは挙げてやりたいと懇願します。

結婚式済ませて3日後の日没までに再び街に戻り、刑の執行を受けるというのです。

王は逃れる口実だと嘲笑します。

自分を信用できないのであれば親友のセリヌンティウスを人質にして預け、もし、戻らなければ代わりに処刑しても良いと約束します。

王はこの提案を受け入れ、日没から遅れて戻って来れば命は許されるといって揺さぶりをかけてくるのでした。

セリヌンティウスは城に召喚されメロスと2年ぶりの再会を果たしました。

そこで事情を説明するとセリヌンティウスは無言でうなずき、二人は抱きしめ合うのでした。

【承】妹の結婚式

翌朝、村に到着した疲弊しきったメロスを見つけた妹は驚きます。

何があったのか問いますが、メロスは笑顔で買ってきた綺麗な衣装を渡し、深い眠りに落ちてしまうのでした。

夜に眼を覚ましたメロスは花婿の元へ出向き、結婚式を明日にしてくれと頼みます。

突然の申し出になかなか首を縦に振らなかった花婿でしたが夜通し説得を続けられ渋々了承します。

翌日、結婚式は催されました。途中で大雨が降り出してしたが宴は続きます。

その最中、メロスは考えを巡らせます。このまま村に留まっていたいと、それでも、友との約束を果たす為、翌朝の出発を決意するのでした。

【転】道中の出来事

翌朝、目を覚ましたメロスは幾分小降りになった雨の中出発します。

メロスの胸中を様々な思いがめぐり葛藤します。自分は今、殺されるために走っているのだ。

何度か立ち止まりそうにもなりましたが、自分を奮い立たせて走るのでした。

隣村に着いたころには未練も断ち切れていました。

歩みを進めるメロスを災難が襲います。昨日の豪雨で川が氾濫して、橋も舟も流されてしまっているのです。

メロスは覚悟を決めて濁流に飛び込み決死の思いで対岸に辿り着きます。

ところが一難去ってまた一難です。今度は山賊の一団が眼前に現れたのです。

山賊は金品ではなくメロスの命を狙ってきました。メロスはこれが王の差し金である事を察します。

相手の棍棒を奪い取って反撃し隙を突いて難を逃れます。

濁流を泳ぎ、山賊との格闘を経たメロスの体力は限界にきていました。

灼熱の太陽に晒され眩暈に襲われ、遂には倒れてしまいます。

メロスの心は諦めに支配されていきます。

友の信心に報いる事ができない自分を恥じます。

王が別れ際に耳元で囁いた言葉が思い起こされます。

少し遅れてくれば命は助けてやるという侮辱に屈する事になってしまう。

友が身代わりに殺され放免された自分はどうなるのだろう。

友を追って一緒に死ぬか、不名誉な死に損ないとして生き延びるのか。

人を殺して自分が生きる、これが人の世の道理ではないかなどと不徳の考えに至り、まどろみの淵に落ちていくのでした。

【結】勇者の復活!友と王との和解

まどろんでいたメロスの耳に水の流れる音が聞こえてきました。

岩の裂け目から湧き水が流れ出ていました。

その清水は渇きを潤すだけではなく疲労を回復させ、更には精神を復活させます。

再び友の元へ向かって走り出します。ほとんど全裸で血を吐きながらも猛然と王城を目指します。

すると途中でセリヌンティウスの弟子が並走して叫びました。

「もう間に合わない、師匠は既に刑場に連れて行かれた」と告げにきたのです。

それでもメロスは聞く耳を持ちません。一心不乱に疾走します。

そしてとうとう刑場に辿り着きます。セリヌンティウスは磔台から降ろされメロスと対面します。

そしてメロスは途中で一度、諦めたことを告白し、自分を殴ってくれと願います。

そうしなければ抱擁する資格はないというのです。

セリヌンティウスはメロスを殴ります。

そしてセリヌンティウスも一度メロスを疑ったと告白します。

殴り合った二人は抱き合い泣き崩れるのでした。

それを見ていたディオニスは二人に近づき、その信心を称え、改心を伝えます。

信じる心は空虚な妄想ではないと、そして自分もその信頼の仲に入れて欲しいと。

すると群衆は湧き上がるのでした。

走れメロスの解説(考察)

巨大な悪の存在(ディオニス)に対する清廉潔白な主人公(メロス)という登場人物の関係性は明快な善悪の対比が描かれています。

その主人公が立ち向かう試練(王との約束)とその途中のピンチ(川の氾濫、山賊との格闘)、逆転(メロスの復活)、勝利(王との約束の達成)という話の流れもお決まりの展開と言えるでしょう。

また、友情、信頼などの価値観が超人的な力を発揮させる事もパワーアップのキッカケとして用いられます。

考えてみると、私たちが幼い頃に見てきた少年漫画の世界観の教科書的な内容になっている事に気付かされました。

 

走れメロスの作者が伝えたかったことは?

「命の問題ではない、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ」というメロスの言葉に作者の真意があるように思われました。

行動を起こす動機には目的があります。

例えば、お金が欲しいから働くといった事です。

命を救う為に走るというのはこれと同等の論理です。

これをメロスは超越します。「頭が空っぽの状態」とありますが、これはスポーツなどで語られる事のある「ゾーン」に入った状態のことでしょう。

集中力が異様に高まると、無駄な力が抜け自分でも信じられない様なプレーができる事があるといいます。

メロスはその状態で何かを得る為ではなく、もっと崇高なものの為に走り続けるのです。

それは友の信心に報いる為、自分の名誉の為などといった、個人的な哲学、美学に訴えかける部分ではないでしょうか。

 

走れメロスの3つのポイント

走れメロス創作のキッカケとなったエピソード

太宰は熱海の旅館から戻らず生活を案じた妻が、友人である檀一雄に様子を見てきて欲しいと依頼します。

太宰は檀を歓迎し連日飲み歩きます。とうとう有り金を遣い切った太宰は東京の井伏鱒二に借金の申し入れに向かいます。

一向に戻らない太宰に痺れを切らした檀が東京に向かうと、太宰は呑気に将棋をさしていたのでした。

その様子をみて激怒しかけた檀に太宰が言い放った言葉が「待つ身が辛いかね。待たせる身が辛いかね。」である。

檀一雄は「小説 太宰治」でこの心情が創作の発端になったではないかと記しています。

作品の最後にある「古伝説とシルレルの詩から」について

 

「走れ メロス」は太宰のオリジナルの創作ではないという事を意味しています。

古伝説とは古代ギリシャでのピタゴラス派の教団員の伝承の事を指します。

また、「シルレル」とはドイツのフリードリヒ・フォン・シラーの事で「人質」という詩からの引用がされています。

川端康成とのバトル!?

第1回芥川賞で太宰は「逆行」という作品で候補となりますが、賞には落選してしまいます。

選考委員であった川端康成に事前に推薦を受けたい旨の書状を送りますが、対応は期待に沿うものではありませんでした。

太宰の私生活の乱れを指摘されてしまいます。

これに対し太宰は雑誌で「小鳥を飼い、舞踏を見るのがそんなに立派な生活か」と反撃しています。

若い頃は尖っていたのですね。

走れメロスを読んだ読書感想

小学生の頃読んだ時は、ディオニスが改心し仲間に入れてくれといってくるシーンは中々太い奴だなと思いました。

大人になって読み返してみると暴君ディオニスの言い分にも一理あると納得できる所もあります。

文明が成熟していない社会では権力者であるという事は、常に命の危険に晒されている状態であるというのは想像がつきます。

そして民衆はいとも簡単に扇動され、暴徒化するという事を史実は証明しています。

それを阻止する有効な手段は恐怖政治であるというのは今日でも存在する統治方法です。

ディオニスは悪として描かれていますが狂った王ではありません。

どこかでまだ救いを求めていたのではないでしょうか。

それゆえ、メロスの様な正義感に満ちた青年を目の当たりにした時にすぐに殺さず、試してみたい気持ちになったのではないでしょうか。

メロスが思惑に反して戻ってきた事で王もまた救われたという事なのでしょう。

終わり方が秀逸だと感じます。

セリヌンティウスの気が利いた言い回しがそれを一掃際立たせてくれています。

太宰流の洒落が効いていると思います。

走れメロスのあらすじ・考察まとめ

少年漫画の草分け的な存在である少年ジャンプには三大原則というものがあるようです。

それは「友情・努力・勝利」というもので、どの作品にもこの価値観が根底にはあります。

多感な時期にこういった価値観に触れる事で健全な青少年の育成につながるのでしょう。

「走れ メロス」にも同様の思想を感じます。

友情や信頼、諦めない心、自分に打ち勝つ事などが作品を通して描かれています。

あの太宰治がどのツラ下げてと思ってしまう気持ちもありますが、様々なことを経験した彼だからこそ辿り着いた境地なのかもしれません。

この頃の太宰は過去と決別し、新たな生活を始めた時期でもあります。

子供も生まれた事で価値観に大きな変化があったのではないでしょうか。

自分はなれなかった清廉潔白な人物に対する憧れる気持ちがあったのかもしれません。

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