あらすじ

半沢直樹で有名な銀翼のイカロスのあらすじとネタバレ 感想から考察を解説/池井戸潤

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今回は池井戸潤氏の半沢直樹第4作、「銀翼のイカロス」をご紹介します!!

「半沢直樹ってドラマは有名だけど本は面白いの?」

「銀翼のイカロスってドラマのどの辺の話?」

今回はこのように思っている方に向けて半沢直樹の元になった銀翼のイカロスのあらすじやネタバレから感想まで解説していきます。

銀翼のイカロスについて理解して、周りとの会話や本を購入するときの参考にしてみてください。

「銀翼のイカロス」とは?

銀翼のイカロスは半沢直樹シリーズの四作目です。

これまで上司や大企業を相手に「倍返し」を華麗に決めてきた半沢直樹の前に国家権力というかつてない強敵が立ちふさがります。

帝国航空という銀行内での巨大案件に関わっていく中で、政治家や銀行の闇と戦っていくことになります。

今回の主題となる帝国航空のモデルは日本航空です。

実際に赤字を計上し、当時の与党であった民主党はタスクフォースを立ち上げています。

最終的に銀行に債権放棄を迫るも拒否されてJAL再建は企業再生支援機構に引き継がれ、稲盛和夫京セラ名誉会長をトップに再建するに至りました。

作者名

池井戸潤

発売年

2014年

ジャンル

経済小説

時代

2010年前後


池井戸潤のプロフィール

岐阜県出身。

慶應義塾大学文学部卒業後、三菱銀行(現:三菱UFJ銀行)に入行。

銀行員としての仕事をこなす傍らで江戸川乱歩賞に関心を持ち、1998年に「果つる底なき」で第44回江戸川乱歩賞を受賞し、念願の作家デビューを果たしました。

銀行員として経済の世界を第一線で触れた経験が多分に生かされており、社会現象を巻き起こした「半沢直樹」シリーズを始めとして「下町ロケット」「ルーズヴェルトゲーム」など多数の作品が映像化されています。

まさに、今をときめく作家と言って間違いないでしょう。

銀翼のイカロスの特徴

2020年夏に前作である「ロスジェネの逆襲」と共に堺雅人主演でドラマ化された本作ですが、ドラマを見た方はご存じの通り終始シリアスな展開が繰り広げられます。

やはり理由としては、これまで半沢直樹は数々の相手に「倍返し」をしてきましたが、今回は政界という強敵と相まみえることが大きいでしょう。

その過程で半沢が所属する東京第一銀行の闇があきらかになったりと、まさに半沢直樹シリーズの集大成と言っても過言ではありません。

これまであまり出番がなかった中野渡頭取にスポットが当たるのは今作ならではの見どころです。

また、取引先である帝国航空や白井亜希子、箕部幹事長といった実在の人物や団体を彷彿とさせる名前が飛び交い、読むだけでイメージが湧くのも楽しめるポイントでしょう。

銀翼のイカロスの主要登場人物

半沢直樹

このシリーズの主人公。父親の会社が銀行からの融資打ち切りで倒産し、死に追いやられた経験から復讐もかねて産業中央銀行(現:東京中央銀行)に入行する。

現在は東京セントラル証券から本店営業第二部に復帰し、銀行の中枢で活躍している。

渡真利忍

半沢の大学からの同期。情報通で半沢の活躍に協力する。

内藤

本店営業第二部に所属する半沢の上司。

半沢の実力を評価している。

中野渡謙

東京中央銀行の頭取。半沢が尊敬する偉大なバンカー。

今作ではキーパーソンの一人。

富岡義則

東京中央銀行検査部所属。

表向きは窓際族だが、裏である事件を捜査している。

紀本平八

東京中央銀行の常務。ニューヨーク支店帰りの有力者であり、今回の案件に深く関わる。

白井亜希子

元アナウンサーで抜擢人事により国土交通大臣に就任する。

帝国航空再生タスクフォースを立ち上げ、半沢たちを驚かせる。

乃原正太

タスクフォースに参画する弁護士。

紀本と幼少期からの顔なじみ。

箕部幹事長

今作の黒幕。

政権交代を果たした進政党のフィクサーとして権力を振るう。

銀翼のイカロスの簡単なあらすじ

これまで、銀行内のライバルや宿敵、大企業を相手にバンカーとして活躍してきた半沢ですが今回は国家権力が立ちふさがります。

今回の舞台となる帝国航空は赤字を計上するも、日本のインフラの中枢として大きな存在感を放っていることから経営再建がはかどりません。

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そんな折、頭取の指示で東京中央銀行の審査部(赤字の取引先を専門に担当する部署)からこの案件を渡されます。

「伏魔殿」の異名を取るこの難題な案件に、タスクフォースの白井、乃原、箕部が立ちはだかります。

そして、彼らに挑む半沢は東京中央銀行の抱える大きな闇の存在に気がつきました。

それは銀行がかつて合併する際に見逃された不正融資の存在でした。

この問題が本作最大の争点になります。

銀翼のイカロスの起承転結

【起】銀翼のイカロスのあらすじ①

前作「ロスジェネの逆襲」で東京セントラル証券に出向させられたものの逆買収を見事に成し遂げ、東京中央銀行本店営業第二部次長に復職した半沢に新たな案件が振ってきます。

それは帝国航空の再建、本来は赤字の取引先を担当する審査部の案件がなぜか、半沢のもとに飛んできました。

半沢は引継ぎと帝国航空の実情を知るために早速前任者の曾根崎と部下の田島とともに社長の神谷のもとを尋ねます。

そこで目にしたのは、帝国航空側の危機感の無さと曾根崎の甘い対応でした。

【承】銀翼のイカロスのあらすじ②

半沢は今が帝国航空を復活させるラストチャンスと考えて再建案を提出します。

そんな折、進政党に政権交代し元アナウンサーの白井亜希子が抜擢人事で国土交通大臣に選出されます。

そして白井はメディアの前でタスクフォースの立ち上げと銀行に対する一律7割の債権放棄を表明し、半沢たちに牙をむきます。

東京中央銀行は700億円の債権を有しており、放棄するとなれば500億円もの額を失うのと等しく半沢はタスクフォースに反発します。

半沢は帝国航空のメインバンクである開発投資銀行の谷川と話すも、債権放棄に同意する旨を聞き、悩みます。

その後、帝国航空の山下と接近し、タスクフォース側の資料を極秘に入手、その結果、羽田・舞橋路線に注目します。

【転】銀翼のイカロスのあらすじ③

実はこの舞橋という地名は箕部幹事長の地元であり、ここに半沢は不穏なにおいを感じます。

タスクフォースのほうでも半沢の存在がやり玉に上がり、白井は銀行に圧力をかけます。

そして、箕部も裏で懇意にしていた紀本に圧力をかけて債権放棄に誘導します。

さらに金融庁の黒崎も乗り込んできます。

ミスを発見され、銀行は業務改善命令を受け、頭取が頭を下げます。

しかし、これは曾根崎の差し金で帝国航空側に虚偽の報告をしていたことが発覚し、半沢は再びこの件に本腰を入れます。

銀行内の役員会議では債権放棄の可否を巡り議論が紛糾しますが、最終的に「開発投資銀行が拒否した際のみ、当行も断る」という条件付きで債権放棄を進めます。

【結】銀翼のイカロスのあらすじ④

そして、債権を有する銀行が集う報告会にて各銀行が「主力、準主力銀行に従う」との旨を述べる中、半沢は開発投資銀行が拒否した際には債権放棄を拒絶することをタスクフォース陣営にいい渡します。

そこに開発投資銀行の谷川が現れ、債権放棄を拒否します。

直前に民営化が決定されたことが大きな理由でした。

そして、半沢は箕部の不正融資のファイルをみつけ、調査に乗り出します。

そして、記者会見の場で、箕部幹事長のスキャンダルを暴露し、敗北に追い込みます。

とはいえ、銀行の不正を露呈したゆえに頭取は辞任、半沢の実力を評価して銀行を去ります。

帝国航空は企業再生支援機構の手に委ねられることになりました。

銀翼のイカロスの解説(考察)

本作では政界と銀行の癒着、銀行合併の闇が頻繁に出てきますが、これは実際にバブル崩壊後の銀行再編の際に起こった出来事と重なります。

実際にバブル崩壊後持っている企業の債権が焦げ付き、利益を回収できず債務超過に陥った銀行や証券会社はたくさんあり、倒産や政府からの補助金により一命をとりとめたことを彷彿とさせる内容であると感じました。

銀翼のイカロスの作者が伝えたかったことは?

作者の銀行と政界のあり方に対する厳しい視線を非常に感じました。

作中ではかつて東京中央銀行の合併に際して重役が謎の死を遂げたりと現実の事件を想起させる内容もあり、作者の銀行のあり方に対する厳しい姿勢が見受けられます。

政治家が不正な資金繰りをしている描写がありますが、近年においても政治家の不正融資問題はニュースで頻繁に取り沙汰されており、政界に蔓延する課題として未だに存在し続けています。

そして、前述したように作者の古巣である銀行に対しても非常に厳しい目を向けていることが感じ取れます。

これまでのシリーズでも銀行内に悪役がいるケースはありましたが、今作では銀行の根底に潜む闇が明らかにされ、金融庁から業務改善命令を出されるに至っていることから銀行の負の部分を強くプッシュする姿勢が伺えます。

そういった観点から半沢シリーズのノリはあるものの、現代におけるこの国の政治経済の課題を写実的に映し出していると言えるでしょう。

銀翼のイカロスの3つのポイント

ポイント① シリーズ最強の敵

これまでは銀行や企業を相手に倍返しを繰り広げてきた半沢ですが、今回は政治家の箕部幹事長や弁護士の乃原正太といったかつてない強力なメンバーが立ちはだかります。

銀行に対して圧力をかけてきたりと、債権放棄をさせるべくなりふり構わない動きを見せますが、それに半沢がどう立ち向かうのかは今作の大きな見どころです。

ポイント② 銀行や政界の抱える問題点

今作では銀行内での不正だけでなく、黒幕である箕部幹事長の利益誘導型政治に絡んだ不正融資に始まり銀行と政界の癒着、そして白井亜希子のお飾り的なポジションなど非常にセンセーショナルな内容が盛り込まれています。

ラストでは中野渡頭取が責任をとって辞職するという危機に陥っており、これまでよりも踏み込んだストーリーになっています。

この本を読むだけで現代政治の問題点をおさらい出来てしまうボリュームでしょう。

ポイント③ ピンチの中でも描かれるバンカーとしての矜持

曽根崎や紀本常務が不正をする一方で、中野渡頭取や影で極秘に銀行の闇を調査していた富岡のバンカーとしての生き様はサラリーマンとしてかっこよく映るのではないでしょうか?

銀行という組織のために身を削って活躍するその姿勢は、半沢や読者の心をグッと掴みます。

そして、「働くとはどういうことか?」という回答を見つける上で大きなヒントになるといっても過言ではありません。

銀翼のイカロスを読んだ読書感想

半沢直樹シリーズでも屈指のシリアスさを感じられる一作です。

半沢直樹と政界の戦いが銀行全体を巻き込む大きな問題となっていく過程はまさに集大成であると感じます。

政治家のみならず、開発投資銀行など大物が次々と登場する部分もこれまでのシリーズと一味違うところです。

そして、ラストで中野渡頭取が責任をとって辞職しますが、その際に半沢に銀行の将来を託すシーンはシリーズ切っての名シーンでしょう。

半沢が銀行での自分の役割を認識する場面は、彼が頭取の椅子を目指すという意味に感じられ、次回作への期待も非常に高まります。

銀翼のイカロスのあらすじ・考察まとめ

半沢直樹シリーズにおいて最も手強い強敵が登場する本作は、恒例の「倍返し」を楽しめるだけではなく、銀行や政界が現在進行系で抱える問題点を映し出した一作です。

帝国航空を始めとして実際の人物や団体、エピソードを想起させられる内容で、銀行合併の問題点など社会的に問題となった出来事を彷彿とさせる部分もあり、重厚な内容となっています。

その中でもバンカーとしての矜持を持ち、銀行のために試行錯誤する半沢や渡真利、そして中野渡頭取や富岡の活躍ぶりは現代を我々が仕事とどのように向き合っていくべきかを考える上で非常に参考になります。

半沢シリーズのファンは勿論のこと、仕事に悩む人にもオススメできる一冊です。

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