あらすじ 芥川龍之介

地獄変のあらすじとネタバレ 読書感想から考察まで徹底解説/芥川龍之介

近代文学の代表作家といえば、芥川龍之介ではないでしょうか。

芥川作品の中で特に有名なのは、「羅生門」や「藪の中」ですが、

今回ご紹介する「地獄変」は、芥川作品の中で最も衝撃的な展開を迎える小説と言っても過言ではありません。

「地獄変」は、登場人物と芥川龍之介と重ねて、作家論的に論じられることが多くなっています。

確かに作家論的な視点で評価しやすい作品なのですが、ストーリー自体がとてもわかりやすく、初心者でも読みやすいものになっているのです。

この記事では、そんな「地獄変」のあらすじやネタバレから感想・考察まで徹底的に解説していきます。

「地獄変」とは?

誰しもが、我を忘れてしまうほど夢中になることがあるでしょう。

それは、恋かもしれないし、お金かもしれないし、はたまた芸術かもしれない。

「地獄変」の語り手「良秀」は、都でも評判の絵師であり、一人娘の父親です。

芸術のために全ての事柄を犠牲にしなければいけない状況で、彼はどうなってしまうのでしょうか。

優しく非道な「人間」という生き物が、生々しく描かれています。

作者名

芥川龍之介

発売年

1918年

ジャンル

近代文学

時代

平安時代

作者名のプロフィール

芥川龍之介 1892年~1927年

幼い頃に母親を亡くし、叔父の元で育ちました。

とても勉強熱心で、21歳の時に合格最難関の東京帝国大学(現在の東京大学)に入学しました。

そして、23歳で「羅生門」を発表します。

恋愛に関してはかなり苦労したようで、大きな失恋や自身の不倫をきっかけに、35歳という若さで自らの命を絶ってしまいました。

作者名の代表作

芥川龍之介の代表作といえば、「羅生門」や「鼻」、「蜘蛛の糸」ではないでしょうか。

近代文学と言うことで、「難しい作品なのでは?」と倦厭されることもありますが、芥川作品はそのほとんどが短編小説です。

芥川は古典文学から創作のヒントを得ることが多く、「今昔物語」や「宇治拾遺物語」をもとにした作品が多く見られます。

地獄変の主要登場人物

「地獄変」の語り手。大殿様に20年仕えており、絶対の忠誠心の持ち主です。

良秀

都でも評判の絵師。絵のことになるといかなる犠牲も厭いませんが、娘には人一倍の愛情を注いでいます。

堀川の大殿様

御邸の殿で、何かと話題の尽きない人物です。良秀に地獄変の屏風の作成を依頼します。

良秀の娘

父親である良秀とは似ても似つかない愛嬌の持ち主。御邸に入っており、大殿様にも気に入られています。

猿の良秀

良秀の娘に懐いている猿。見た目が良秀にそっくりなので、良秀というあだ名が付けられました。

地獄変の簡単なあらすじ

都でも評判の良秀という絵師がいましたが、御邸では嫌われ者でした。

彼には一人娘がおり、御邸で大殿様に可愛がられていました。

あるとき、大殿様は良秀に「地獄変の屏風を描くように。」と依頼します。

良秀は牛車が燃える様子を描きたいと考えましたが、彼は実際に見たもの描けません。

そこで大殿様に、「牛車を燃やして欲しい」とお願いしました。

大殿様は良秀の望み通り、牛車と牛車に乗せた良秀の娘に火をかけました。

良秀は最初こそ取り乱した様子でしたが、最終的には一人娘の断末魔を嬉しそうに眺めていたのです。

それから一ヶ月後、良秀は地獄変の屏風を描き上げると、自ら命を絶ってしまいました。

地獄変の起承転結

【起】地獄変のあらすじ①大殿様と良秀という男

語り手「私」は、堀川の大殿様に仕えている人物です。

「私」は大殿様にまつわる数々の逸話を回想しますが、その中で最も恐ろしい「地獄変の屏風」の由来について語ります。

地獄変の屏風を描いたのは都でも腕が高いと評判の良秀という名の絵師でした。

しかし、彼の高慢さと横柄さは、それ以上に人に嫌われる要素だったのです。

そんな良秀には、愛する一人娘がいました。

娘は愛嬌があり、御邸でいじめられていた猿を助けるほど心優しい子です。

良秀は娘を可愛がりすぎるあまり、娘に言いよってくる男を全てはねのけていました。

そんな様子を知った堀川の大殿様は、娘を御邸に召し上げます。

さすがの良秀も堀川の大殿様に逆らうことは出来ませんでした。

良秀はことある毎に娘を返してくれるよう頼みますが、大殿様が応じることはありませんでした。

これはお殿様が良秀の娘に恋心を抱いていたのではなく、娘を良秀のもとに戻すと、不幸になってしまうと心配していたからなのです。

【承】地獄変のあらすじ②苦悩する良秀

ある日良秀は、大殿様から地獄変の屏風を描くように言いつけられました。

彼は早速屏風の制作にとりかかりますが、なかなか筆が進みません。

なぜなら良秀は、実際に目にしたものしか描けない性分だからです。

彼は弟子を鎖で縛って蛇を放ったり、ミミズクに襲わせたりして、あらゆる地獄を描こうと試行錯誤します。

そんな毎日を送る良秀は、ある悪夢に悩まされていました。

夢の中で聞こえる声は、「奈落で娘が待っている」というのです。

そのころから、あの強情な良秀がなぜか涙もろくなり、人のいないところでときどき泣いているという話が広がりました。

【転】地獄変のあらすじ③もう一人の足音

良秀の様子が変わった頃と同じ時期、良秀の娘までもが、なんだか気鬱な様子で涙を堪えるようになりました。

御邸では、大殿様が娘をむりやり自分の意に従わせようとしているのではないかと噂が流れましたが、いつしかその噂はぱったり忘れられてしまいました。

そんなある日、「私」はただならぬ様子の猿の良秀に連れられて、ある部屋の前に来ました。

その時、部屋の中から良秀の娘が飛び出してきたのです。

娘はいつもの幼さを失って、とてもなまめかしく見えました。

「私」は娘を眺めながら、慌ただしく遠のいていくもう一人の足音に気づき、娘にその正体を尋ねます。

しかし、娘は首を横に振るばかりで、答えることはありませんでした。

「私」はそれ以上追求するのはいけないような気がしました。

【結】地獄変のあらすじ④地獄変の屏風の由来

あの事件があってから半月ほど経った日、良秀が御邸に現れました。

良秀の用件は、「絵が描けないので、牛車が燃える様子を見せてください。そうして、できることならば、牛車の中に女を乗せてください。」というものでした。

大殿様は良秀の頼みを聞くと、笑いながら承知したのです。

後日、御邸から離れた場所に牛車が用意され、大殿様は良秀の目の前で仰々しく牛車の御簾を上げました。

そこには、良秀の娘が鎖にかけられた状態で乗っていたのです。

良秀は牛車に駆け寄ろうとしますが、大殿様の合図で牛車は炎の中に包まれました。

良秀の口は歪み、頬は引きつり、恐れと悲しみと驚きを隠せない様子でしたが、大殿様はその様子を気味悪く笑って見ていました。

そのとき、猿の良秀がそこからともなく現れて、炎の中に飛び込んでいったのです。

その瞬間、良秀の様子は一変します。

良秀の顔は言いようのない輝きをまとい、一人娘の断末魔を嬉しそうに眺めていました。

一方の大殿様は、青い顔をして口に泡を溜めながら、獣のように喘いでいました。

この夜から一ヶ月後、良秀は地獄変の屏風を完成させると、自らの命を絶ったのです。

地獄変の解説(考察)

地獄変では、語り手「私」の存在が重要になってきます。

「私」は大殿様に仕えている人物であり、大殿様に盲目の忠誠心を持っているのです。

御邸では大殿様の悪い噂がいくつか流れますが、「私」は尽く否定していきます。

読み進めて行くにつれて、大殿様の言動と「私」から大殿様に対する評価の間には、大きなスレが生じてきます。

そのズレこそが、大殿様の人間性を強調するのです。

「地獄変」を読む際には、「私」というフィルター越しでしか人物を捉えることが出来ないということを忘れてはいけません。

地獄変の作者が伝えたかったことは?

人を思う美し心も、私利私欲に溺れてしまう醜い心も、人間という生き物の本質であるということです。

作中で描かれる良秀と大殿様は、芸術や恋愛に心を奪われ、非道な行いをしてしまいます。

しかし、そんなふたりにも人を思う心はあるのです。

語り手「私」によって両者の描写が巧妙に入れ替わり、人間の本質である「二面性」を表現しているのではないでしょうか。

地獄変の3つのポイント

ポイント①「地獄変」の元ネタ「宇治拾遺物語」

「地獄変」の基になったのは、「宇治拾遺物語」の「絵仏師良秀」であるとされています。

地獄変の屏風の由来を知ってしまうと、なんだか実際に見てみたい気もするのですが、良秀は実在した登場人物ではなく、屏風も存在しないようですね。

ポイント②三島由紀夫が脚本化

実は、三島由紀夫が「地獄変」を原作に、歌舞伎作品の脚本を書き下ろしたそうなんです。

近代文学と現代文学の作家のコラボですから、かなり見応えのあるものだったのではないでしょうか。

ポイント③芥川作品の「猿」

良秀を形容する言葉として「猿」が使われていますが、芥川作品には「猿」が多く登場する気がします。

「羅生門」でも、「老婆」を「猿」で形容する場面がありますね。

芥川作品に登場する「猿」を追ってみると、もしかしたら新しい発見が得られるかもしれません。

地獄変を読んだ読書感想

わたしが初めて「地獄変」を読んだとき、かなりの衝撃を受けたことを覚えています。

近代文学は、お世辞にも明るい気分になれる文学とは言えません。

しかし、その厳かさ故に、わたしたち読者に刺さるものがあるのでしょう。

近代でも現代でも、人間というものは、そんなに変わっていないような気がします。

地獄変のあらすじ・考察まとめ

自分と人をくらべて生きていくことに、疲れてしまった人はいませんか?

そんなとき近代文学を読んで、自分自身と向き合う時間を作ってみてはいかがでしょうか。

人間の本質を理解することで、自分自身を理解するヒントが見つかるかもしれません。

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