あらすじ オスカー・ワイルド

ドリアン・グレイの肖像のあらすじとネタバレ 読書感想から考察まで徹底解説/オスカー・ワイルド

誰もが羨む美貌を持った青年とその美しさを肖像画にして残そうとする画家、その青年を懐柔しようとする社交家がメインの登場人物です。

「美」にとりつかれた3人の男の思惑が怪しく絡み合う物語です。

「美」とは何か、芸術とはどうあるべきなのかといった問いが作品のテーマになっています。

ストーリーの展開もスリリングで結末が気になり、どんどん読み進めてしまう作品です。

「ドリアン・グレイの肖像」とは?

作者が序文で書いている事が本作のテーマにあることは明確です。

芸術とはどういったもので、どういったことを求めるのかということが書かれています。

本編では芸術家たちが求める「美しさ」によって狂わされていく様が描かれています。

美にも芸術にも「毒」がなくては真実とは言えないのではないでしょうか。

 

作者名

オスカー・ワイルド

発売年

1891年

ジャンル

長編小説

時代

19世紀末

オスカー・ワイルドのプロフィール

1854年、アイルランドのダブリンで生まれ。

父親は医師で裕福な家庭で育ちました。

オックスフォードを首席で卒業するほどの才覚の持ち主でした。

ロンドンに移り住み母親のサロンに出入りするようになります。

そこで画家や俳優などと派手な交友関係を結ぶようになります。

その後、アメリカを経てパリに移住します。

そこで弁護士の娘と結婚し2人の男児をもうけます。

30歳を過ぎてから文筆業が盛況となり、代表作「サロメ」などを発表します。

この頃に親しくなった文筆家のダグラス卿と各地を旅行して回ります。

ところが二人の親密な関係に疑念をもったダグラス卿の父親から息子に対する卑猥行為で訴えられて投獄されてしまいます。

釈放後は放浪生活の末、パリのホテルで他界します。死因は脳髄膜炎でした。

ドリアン・グレイの肖像の特徴

現実と非現実が入り混じった様な世界観が特徴だと思います。

描かれている世界は現実に即した世界観ですが、絵画が変容するという超常現象が描かれています。

変容しているというのはドリアンの錯覚ではありません。

バジルもそれを事実として認識しています。

ところが最後には元の肖像画と皺だらけ男に戻っています。

変容が事実なのか、幻覚なのか、そこの解釈がこの作品を理解する上で肝になっていると思います。

作品名の主要登場人物

ドリアン・グレイ

誰もが羨む美貌をもった青年。若くナルシストな一面も。

バジル・ホールワード

ドリアンをモデルに肖像画を描く画家。ドリアンの美しさに心酔している。

ヘンリー・ウォットン

バジルの友人の伯爵。言葉巧みにドリアンを籠絡しようとする。

ドリアン・グレイの肖像の簡単なあらすじ

絶世の美男子ドリアン・グレイをモデルにバジルは肖像画を完成させます。

ドリアンはその絵を前に逃れられない老いを自身ではなくこの絵が受け入れてくれればいいと願望を口にします。

若く美しいドリアンには恋人がいましたが、彼女を自殺に追い込んでしまいます。

堕落していくドリアンの容貌は歳をとりません。

代わりに肖像画の方が醜く変化していきます。

それはただの幻なのでしょうか。

 

ドリアン・グレイの肖像の起承転結

【起】3人の出会い

画家のバジル・ホールワードのアトリエにはヘンリー卿が訪れていました。

バジルの描いている美青年の肖像画の出来栄えを誉めそやしています。

モデルのドリアン・グレイは誰もが羨む美貌を持った青年です。

バジルはこの傑作を世の中に発表しないといいます。

この作品にはあまりにも自分を込めすぎてしまっているといいます。

話の流れでこの肖像画の美男子がドリアン・グレイであると聞きます。

バジルはヘンリー卿にドリアンを紹介する事を渋りました。

きっとヘンリー卿は若く純粋なドリアンをよくない方向に影響を与えるのではないかと危惧します。

そして何よりドリアンと自分の間にヘンリー卿が入るとこを快くは思えないだろうと感じていました。

ところが、タイミング悪くドリアンがアトリエにやってきてしまいます。

ヘンリー卿にドリアンを紹介することになりました。

【承】ドリアンの恋人

ドリアンはシヴィル・ヴェインという新進の女優と恋に落ちます。

彼女もまたとても美しく話題になっていました。

ドリアンは恋愛に夢中になりのぼせ上がっていました。

そして二人の関係は進展し、ついには結婚へというところまできてしまいます。

バジルとヘンリー卿はその相手の女優を見てみたいと劇場にドリアンをともなって出かけていきます。

その舞台でのシヴィルの演技は最悪でした。

それは誰の目にも明らかで才能の欠片も感じさせない出来栄えでした。

終幕後ドリアンは楽屋に向かいます。

シヴィルはドリアンとの結婚という幸福な未来にのぼせ上がり仕事に身が入っていない様子でした。

それに失望したドリアンはシヴィルに冷たく接し暴言を吐き捨てて楽屋を後にします。

その翌日新聞紙面にはシヴィルが自殺をしたというニュースが乗ることになります。

幸いにもドリンアとのやりとりが原因で彼女が自殺をしたということは誰にも知られていないようでした。

動揺するドリンアをヘンリー卿はオペラに誘います。

こんな事態になってのうのうとオペラ鑑賞に出かけるドリンアをバジルは避難します。

そして例の肖像画に何か変わったことはなかったかと尋ねます。

シヴィルが自殺して以降、肖像画の中のドリアンは醜くなっているのでした。

そしてドリアンはその絵を屋根裏に隠していまいます。

【転】2人目の殺人

その後、ドリアンの生活は荒れていき、官能主義に溺れていきます。

20年の年月が経ちドリアンの良くない噂を聞きつけたバジルは彼の家を訪ねます。

バジルはドリアンにスキャンダラスな噂の真意を問いただします。

ドリアンは煙に巻こうとしますが、バジルは執拗に食い下がります。

そして、自分の苦しみを見せようとバジルを屋根裏部屋に入れるのです。

額縁の中には醜く変容したドリアンの姿がありました。

バジルは動揺し、ドリアンを責め立てます。

それに逆上したドリアンはバジルを殺してしまいます。

そしてその死体は知人の科学者に依頼して処分します。

【結】逃避の果て

これ以降ドリアンの生活は益々荒れていきます。

アヘン窟に出入りするにまで成り下がっていきます。

そこで、偶然居合わせたヴェインの弟であるジェームスに殺されかけます。

ドリアンの容貌が20年前と変わっていないことから人違いと見逃されます。

ところがドリアンの容姿に関する事実を知ったジェームスはドリアンを追いかけてきます。

ところが、兎狩りをしていたドリアンたちの誤射に当たって死んでしまいます。

ドリアンは自分を殺そうとしている者がいなくなった事に安心します。

そしてこれからは心を入れ替えて健全に生きようと改心を表明します。

ところがヘンリー卿に見透かされてしまいます。

自身の罪悪感に支配されたドリアンは例の肖像画を破壊しようと試みます。

悲鳴の聞こえた部屋にやってきた者たちが見たのは美青年の肖像画と醜い男の死体だけでした。

ドリアン・グレイの肖像の解説(考察)

ドリアンは多くの罪を犯します。

シヴィルの自殺のきっかけはドリアンの態度です。

また、激昂しバジルを殺害します。

彼は罪の意識に苛まれることに耐えきれず享楽的な生活に溺れていきます。

それはドリアンが根っからの悪党ではなく、もっとひ弱な性格であるが故の逃避だと思います。

ですが、歳月が過ぎての罪悪感はなくなりません。

その悪に支配されつづけたドリアンの眼に映る肖像画は、自身の内面を映し出しているのかもしれません。

ドリアン・グレイの肖像の作者が伝えたかったことは?

序文で述べられている事に集約されている様に思われます。

芸術が突き詰める「美しさ」の本質とは何かという事ではないでしょうか。

「美」とは心を癒す甘美なものである、その一方で「毒」でもあるという事だと思います。

ドリアンは美の象徴ですが、最後は自身の毒に侵されて死ぬ事になります。

「綺麗な花にはトゲがある」と言いますがそれは表裏一体なものであるという事だと思います。

ドリアン・グレイの肖像の3つのポイント

序文

当時のイギリスでは不道徳な作品と批判に曝されていました。

そんな意見への反論として「序文」を加筆したようです。

芸術至上主義を押し出し、保守的な意見に挑戦したのです。

同性愛

本作の主要な登場人物3人ドリアン・グレイ、バジル・ホールワード、ヘンリー・ウォットン卿は同性愛の間柄であったといわれています。

当時のキリスト教社会では受け入れられない価値観であったため、直接的な表現は控えられています。

ドリアン・グレイを演じた役者

イギリスはもちろんアメリカや日本でも本作の映画化、舞台化作品は多数あります。

日本では宝塚歌劇団が舞台化した際にはドリアン・グレイは紫吹淳さんが演じています。

また、舞台化された際には山本耕史さんも演じています。

ドリアン・グレイの肖像を読んだ読書感想

主要登場人物3人の三角関係の匂わせ方がとても「うまい」と感じました。

直接的な表現は一切使わずに彼らのセリフの部分などからそれを感じる事ができる様な書き方をされていると思いました。

それぞれの性格的な特徴にも妙な説得力があると思いました。

若く軽率で、自己中心的な言動で周囲を引きつける術を知っているドリアン。

勝手に作り上げた彼女の虚像を失って失望する様は恋に恋しているだけの青二才です。

バジルは真面目な性格で、ヘンリー卿はシニカルな紳士とキャラの立ち方が際立っています。

ドリアン・グレイの肖像のあらすじ・考察まとめ

ドリアンは恋人のシヴィルを自殺に追い込んでしまった事で激しい自己嫌悪に陥っています。

ですが、それで自分責め続けるほどの強さはありません。

その罪悪感から逃れようと自堕落な生活を送る様になります。

そして突発的な衝動でバジルを殺害してしまいます。

シヴィルの弟に命を狙われている事がわかり、いつその時がくるのかと常にストレスを抱えています。

事故でシヴィルの弟が死んだ事でそのストレスからは解放されます。

改心し新しい人生を生きようと思ったドリアンにヘンリー卿に邪魔されます。

そして発狂し、自身の肖像画を破壊します。

ですが、それは自分自身を殺す事となってしまったのでした。

今話題の耳で聴く読書を無料で試せる!!

いま話題の耳で聴く読書『Amazonオーディオブック』はもう使っていますか?

オーディオブックは「食器洗い」「ジョギング」などをしながら読書することができます。

今なら1ヶ月間無料のキャンペーンで1冊5000円ほどの本も無料で聴けてしまいます。

ぜひ、この機会に新しい読書のスタイルを試してみてください。

よく読まれている記事

1

Amazonオーディオブックは本を耳で楽しむことができる本の朗読サービスです。 手を使わないのでスマホや本を出すことすら厳しい満員電車の中や、食器を洗っているときなどに大活躍します。 実際、通勤時間に ...

2

オーディオブックは本の内容を音声で聴くことができるため、通勤中や家事の最中に読書ができる時間を有効活用できます。 「聴き放題ができるオーディオブックが少ない」 「一冊ずつ買ってたら高くなるんじゃないの ...

3

悩む男性オーディオブックってよく耳にするけど、本を聴くのってどうなんだろう? 読書と言うと「本を読む」ことをイメージされる方が多いと思いますが、最近では、「本を聴く」ことができるオーディオブックが広ま ...

-あらすじ, オスカー・ワイルド

Copyright © BookMuG , All Rights Reserved.