あらすじ

注文の多い料理店のあらすじとネタバレ 読書感想から考察まで徹底解説/宮沢賢治

絵本から児童文学、国語の教科書まで色々な出版社から刊行されている「注文の多い料理店」。

宮沢賢治の作品の中でも知名度が高く、知っている人も多い作品だと思います。

タイトルだけ見ると、なんだか楽しそうで賑やかな感じがしますよね。

いつの間にか世界観に没入してしまい、気付いたら最後まで読んでしまう。

そんな宮沢賢治の作品の1つ「注文の多い料理店」についてまとめました。

「注文の多い料理店」とは?

 

山奥で道に迷った、イギリス兵隊のような格好をした2人の若い紳士。

連れていた犬が死んでも金勘定ばかりの2人。

「何円の損失だ」と話しながら歩いているうちに、だんだんお腹が空いてきた2人。

ふと後ろを見ると“西洋料理店 山猫軒”と書かれた札が立っている西洋造りの家を見つけました。

2人は喜びいっぱいでそのお店に入ることを決めます。

扉を開けると“どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません”と書かれていました。

そこから予想外の展開へと進んでいきます。

作者名

宮沢 賢治

発売年

1924年

ジャンル

童話

時代

大正時代

宮沢賢治のプロフィール

明治末期~昭和初期(1896年~1933年)に活躍した作家で、主に詩や童話を創作していました。

岩手県花巻市(旧稗貫郡川口村)出身。

なお岩手県は、宮沢賢治が思い描いた理想郷「イーハトーブ」の舞台でもあります。

宮沢賢治の主な作品

「銀河鉄道の夜」「風の又三郎」「やまなし」「雨ニモマケズ」など。

地質学・動植物・天文学・宗教など様々な分野への関心があり、造語を作るのが得意でした。

法華経信者として有名です。

また、稗貫郡立稗貫農学校(翌年に岩手県立花巻農学校へ改称)の教師になってからは農民のために奔走する日々を送っていました。

注文の多い料理店の特徴

短編集の目次に1921年11月10日という日付の記載があることから、1921年に創作されたと考えられています。

1924年に「イーハトーヴ童話」という短編集(本作品以外に9つの作品が収められています)として出版されています。

短編集としては唯一、生前に刊行されたものでした。

盛岡高等農林の同窓生だった近森と出版業に携わっていた及川の3人で出版を行っています。

「注文の多い料理店」を推していた及川に対し、宮沢賢治は飲食店を対象にした商業用テキストと間違えられることを懸念していました。

そういうこともあってか本はなかなか売れず、最後は近所の子どもたちに配っていたそうです。

また敗戦後すぐの日本では、GHQの検閲によりイギリスの兵隊という部分は削除されていました。

注文の多い料理店の主要登場人物

2人の若い紳士

イギリスの兵隊のような外見。

東京から来た身なりの良い、太った男性。

2匹の犬

白熊のような犬。

2匹の山猫

親分と子分の関係。

注文の多い料理店の簡単なあらすじ

 

山奥で道に迷った2人の若い紳士が、西洋風のレストランを見つけ、中に入ってみると「当店は注文の多い料理店です」と書かれていました。

「髪を整えて靴の泥を落として下さい」などの要求に従いながら、次々扉を開けていく2人。

「塩をよくもみ込んで下さい」と書かれているのを見て、さすがに怖くなり泣き出してしまいました。

すると置き去りにした犬が助けにきたかと思うと「にゃあお」という声がして、建物は姿を消したのです。

そのうち猟師がやってきて2人は助かりましたが、泣いてくしゃくしゃになった2人の顔は戻ることはありませんでした。

注文の多い料理店の起承転結

【起】注文の多い料理店のあらすじ①

(道に迷った2人の若い紳士)

イギリス兵隊のような見た目をした2人の若い紳士がぴかぴかの鉄砲を持って、白熊のような犬を2匹連れて山奥を歩いていました。

しばらくすると案内人の漁師を見失ってしまい、犬も泡を吐いて死んでしまいました。

2人は「2,400円の損失だ」「ぼくは2,800円の損失だ」と悔しそうに言い合っていました。

歩き回りだんだんお腹が空いてきた2人。

何か食べたいなと話し合っていたときに、ふと後ろを見ると西洋造りの建物が一軒建っていました。

“西洋料理店 山猫軒”という札が立っていて、2人は中に入ることに決めたのです。

建物の中に入ってみると、玄関は白い瀬戸のレンガでできていました。

ガラスの扉があり、そこには“どなたもどうかお入りください。決してご遠慮はありません”と書かれていたのです。

2人はそれを見て、無料で食べられるのだと解釈し、喜んでいました。

扉を開けると廊下が続いていて、扉の裏側には“ことに肥ったお方や若いお方は、大歓迎いたします”と書かれていました。

2人は両方に当てはまると喜び、廊下を進むと水色の扉がありました。

扉が何枚もあるのはロシア式の建物で、寒いところや山の中に多い造りなんだろうと納得します。

その扉の上には“当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください”と書かれていました。

それを見て繁盛しているお店なんだろうと言って2人は扉を開けます。

扉の裏側には“注文はずいぶん多いでしょうがどうか一々こらえて下さい。”と記載されているのを見て、2人は注文が多くて提供が遅くなるのを謝罪だと考えます。

【承】注文の多い料理店のあらすじ②

(お店からの要求を飲んでいく2人)

そこにはもう1つ扉があり、横には鏡がありました。

赤い文字で髪を整えて、靴の泥を落とすように書かれているのを見て、偉い人が来るのだろうと考えます。

扉を開けると次は鉄砲と弾丸は置いてくださいと書かれていて、次の黒い扉には帽子と外套(コート)、靴を脱いでくださいと書かれていました。

2人はよっぽど偉い人が来店するんだろうと要求に従っていきます。

ネクタイピンやカフスボタン、眼鏡、財布、金属や尖ったものは置いていくように指示があり、2人は電気を使うから金属や尖ったものは危ないのだろうと考え、要求通り外しました。

次の扉の前には壺があり、クリームを顔や手足に塗ってくださいと書かれているのです。

外と部屋で寒暖差があるので、ヒビを防ぐためだろうと牛乳のクリームを全身に塗りました。

次の扉を開けると裏側には、耳にも塗りましたかと書かれているのを見て2人は耳には塗っていなかったと塗り直します。

そうして次の扉にくると料理はもうすぐできるので、瓶に入っている香水を頭にかけるように書いてありました。

その香水は酢のような匂いがするので、2人は不思議に思いながらも、風邪を引いた従業員が間違えたのだろうと考えます。

【転】注文の多い料理店のあらすじ③

(お店からの要求を飲んでいく2人)

そうして様々な要求を飲んできた2人。

扉の裏側には“いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。もうこれだけです。どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさんよくもみ込んでください”と書かれているのを見たのです。

これには2人も驚いて「どうもおかしい」「沢山の注文というのは、お店からの注文だ」と気付きます。

西洋料理というのは店が振る舞うのではなく、来た人が西洋料理として振る舞われるという意味だと悟り、がたがたと震え逃げようとしますが、扉は開きませんでした。

奥の扉にはフォークとナイフの切り出しがあり、鍵穴からは2つの青い眼がキョロキョロしていて「お客さん方、早くいらっしゃい」と2人を呼ぶ声がします。

顔をくしゃくしゃにして声も出さず泣く2人。

すると、白熊のような犬が扉を突き破って入ってきたのです。

犬たちが鍵穴の付いた扉に飛びつくと、扉はがたりと外れ、真っ暗闇の奥から「にゃあお」という声と共に、建物は消えてなくなりました。

【結】注文の多い料理店のあらすじ④

(建物が消えたあと)

2人が身に付けていた、コートや帽子や財布などはあちらこちらの木の枝や根もとに点在していました。

犬が戻ってくると、後ろからは「旦那」と叫びながら猟師がやってきました。

猟師の姿を見た2人はひと安心。

猟師が持ってきた団子を食べて、山鳥を10円だけ買って東京に帰りました。

けれども、くしゃくしゃになった2人の顔はお風呂に入っても、もとの様には戻りませんでした。

注文の多い料理店の解説(考察)

「注文の多い料理店」で出てくるイギリス兵隊の身なりということから、西洋批判にも見えがちです。

しかし、宮沢賢治が岩手の海岸をイギリス海岸と名付けたことを考えると、批判として書くことはしないと思います。

では、イギリス兵隊とは何を表しているのでしょうか。

私は日本のブルジョワ階級の人々に向けていると考えています。

もっと詳しく書くと、資産家で宮沢賢治と対立していた父親なのではないかと思います。

山猫2匹は宮沢賢治と妹トシを表しているのではないでしょうか。

宮沢賢治は1920年に国柱会への改宗を父親へ迫って対立しています。

“親分の書きようがまずいんだ”という山猫の言い方は、宮沢賢治の言い方が悪くて改宗の説得ができないんだという、ユーモアを交えた自身への皮肉にもとれます。

注文の多い料理店の作者が伝えたかったことは?

宮沢賢治が伝えたかったことは、3つあると思います。

1つ目は、他者への思いやりを持って生きることです。

金勘定ばかりで犬の生命を蔑ろにしている2人を見て、本当に大事なものを見落とすと大変なことになるという戒めを含んでいると思います。

2つ目は、都合よく考えずに注意深く考えるということです。

2人の紳士は、自分に都合よく解釈してどんどん進んでいきますが、それが正しいのかを考える必要性を説いていると思います。

3つ目は、自然の脅威に対する啓蒙です。

農業や農民の生活に尽力した宮沢賢治だからこそ、自然の脅威を体感していたと思います。

また戦争などで情勢が不安な時代だったからこそ、人がいかにちっぽけな存在であるかを伝えたかったのではないでしょうか。

だからこそ、他人を思いやる必要があると思いました。

注文の多い料理店の3つのポイント

ポイント①オノマトペ

宮沢賢治の作品によく見られる独特なオノマトペ。

“ぴかぴかする鉄砲”や“木の葉のかさかさしたとこ”“タンタアーン”など。

リズムが良いことや不思議な雰囲気があるのは、オノマトペの使い方が絶妙だからだと思います。

声に出して読みたくなる、または想像するわくわく感こそが宮沢賢治の特徴とも言えます。

ポイント②風や扉の意味

映画や本における風や扉、またトンネルといったものは異なるステージの移行を表しています。

それは、感情であったり生死であったり対人関係だったり場面の移行だったり、様々です。

注文の多い料理店では、3回の風と7枚の扉が出てきます。

3回の風は“どうと吹いてきて”を見ると強い風だと分かります。

山猫が走りよってくる、または走り去っていく様子が描かれているのではないかと思います。

例えば、最初の風は山猫の子分が走りよってきた風、2回目の風は山猫の子分が親分に人間が掛かったことを伝えて親分が走りよってきたときの風、最後は2匹が走り去る風といった具合です。

扉は2人が死に近付いていく様子を表しています。

ポイント③色彩の意味

「注文の多い料理店」では、様々な色が出てきます。

ガラス(透明)や白・黄色・金・水色・赤・黒などがあります。

最初は薄い色からだんだん濃くなっていくのが印象的ですよね。

これは、2人の若い紳士が恐怖心を抱いている度合いや死が近付いていることを表していると考えることができます。

それが読者にも潜在的に読みとれるので恐怖心が増していくのかもしれません。

注文の多い料理店を読んだ読書感想

2人や2匹の対話が情けなかったり面白かったり怖かったりして、ハラハラドキドキしますよね。

生き物や他人はお金で買えない価値あるものだと教えてくれる本だと思います。

リズムやテンポが良く、オノマトペの使い方も童話として読みやすく世界観に没入できますよね。

その結果、恐怖が倍増しているとも言えます。

また、短編集「イーハトーヴ童話」が当時の価格からするとかなり高額だったことからブルジョワ階級を狙って書いたものだと想定できます。

作品を制作したころの宮沢賢治が、国柱会に入信したころと考えると、身なりが整っている人でも脱いでしまえば平民となんら変わらないと伝える内容とも取れます。

注文の多い料理店のあらすじ・考察まとめ

2匹の犬を連れた2人の若い紳士が、山奥で迷子になっていました。

だんだんお腹が空いてきた2人が、ふと後ろを見ると西洋造りのレストランがありました。

喜んで中に入ると、扉ごとに髪を整えて靴の泥を落とすことやコートを脱ぐように要求が書いてあり、それに従っていく2人。

「注文の多い料理店」は、1921年ごろに執筆されたと考えられています。

そのころの宮沢賢治は、改宗で父親と対立したり妹の病気を知ったり国柱会に入信していたり様々な経験をしていました。

そのことが作品の根幹になっていると考えています。

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