あらすじ

人間椅子のあらすじとネタバレ 読書感想から考察まで徹底解説/江戸川乱歩

ミステリー小説で有名な江戸川乱歩の代表的な作品、「人間椅子」。

聞いたことはあるけど読んだことはないという方も多いのではないでしょうか?

この記事では「人間椅子」に登場する人物や、あらすじを詳しく解説していきます。

時代を超えて愛される、不朽の名作の魅力を少しでも感じていただけたら幸いです。

「人間椅子」とは?

タイトルから特徴的な「人間椅子」は、江戸川乱歩によって書かれた短編小説作品です。

スリラー小説といわれるジャンルに位置付けられており、今で言うミステリーやホラーの要素を合わせた作風になっています。

内容ももちろん面白いですが、オチが秀逸な作品であり、考察もできる作品になっています。

作者名

江戸川乱歩

発売年

1925年(大正14年)

ジャンル

スリラー小説

時代

大正

作者名のプロフィール

作者は「D坂の殺人事件」や明智小五郎シリーズで有名な江戸川乱歩です。

現在のミステリー小説や探偵小説の代表となるような作品を数多く残した小説家で、1923年から1965年までの間、活躍を続けました。

晩年は、​​高血圧、動脈硬化、副鼻腔炎(蓄膿症)、パーキンソン病を患っていたのですが、それでも口述によって著作を残そうとしていたほどに精力的に活動していたというのだから驚きです。

「人間椅子」は、そんな江戸川乱歩が専業の作家として活動し始めた初期の作品となっています。

人間椅子の特徴

本作品の特徴は、物語が手紙の内容で展開していくというものが挙げられます。

ある男からの手紙の内容から、徐々に日常へ侵食してくるような描写が不気味で面白いポイントになっています。

また、文体は古い小説の中では非常に読みやすくなっているので、長い小説に慣れていない人でもとっつきやすくなっているのではないかと思います。

人間椅子の主要登場人物

佳子(よしこ)

主人公。美しい女性で作家をしている。

私(わたし)

佳子への手紙の差出人。手紙の中で、醜い容姿の男性と記している。

女中(じょちゅう)

佳子の夫の屋敷に仕える女中。佳子の身の回りの世話を担当している。

人間椅子の簡単なあらすじ

主人公、佳子は美しい女性作家でした。

そんな佳子が毎朝の日課で夫を見送ったあと、自分にあてられた手紙を読むことにしていました。

その手紙の中に、他とは比較にならない、分厚い原稿用紙に書かれた手紙を発見しました。

小説の原稿のようにも見えましたが、「奥様」という書き出しから始まることで、なんとなく不気味さを感じながらも、自分への手紙であると判断した佳子は、手紙を読み始めます。

その手紙の内容は、とある男が椅子の中で生活しているという懺悔の内容となっていました。

人間椅子の起承転結

【起】人間椅子のあらすじ①

美しい女性の作家であった佳子は、朝夫を見送った後、自宅の書斎に閉じこもって執筆に励むのが日課でした。

現在佳子は、雑誌の増大号のための作品を執筆するのに忙しく、また大量の手紙が届けられるほど人気な作家でした。

そんな大量の手紙も、佳子は自分宛のものには仕事前に一通り目を通すことにしていました。

ある日の朝、分厚い原稿の束のようになった手紙が届きます。

表題だけでも確認しておこうと思った佳子でしたが、中に入っていた原稿には差出人の名前すら入っておらず、突然「奥様」という書き出しで始まる長い手紙でした。

読み進めていくと、異常な気味の悪さを感じるものの、佳子自身の好奇心に助長され、みるみる先を読み進めます。

読んでいくと、手紙の差出人が、数ヶ月の間世間から姿を消した醜い容姿の椅子職人であると言うことが読みとれます。

その椅子職人の男は、佳子に懺悔の手紙を送ってきていたのでした。

【承】人間椅子のあらすじ②

手紙の主である男は、生まれついて醜い容姿であったものの、心の内では甘美で贅沢な暮らしを夢見ていました。

しかし、家庭の事情と才能のせいで思い通りにはならず、親の家具職人の仕事を手伝いながら、なんとか生計を立てていました。

男は、椅子を作るのが専門であり、どんな注文が来ても気に入ってもらえるという評判から、次第に良い客からの仕事が増え始めます。

そして、注文された豪華な椅子を作っては腰掛けてみて、依頼主の人物像や、椅子の置かれる環境に思いを馳せていました。

そんな妄想が次第に大きくなり、椅子から離れて現実世界へ戻ると、大きな虚無感に襲われるようになっていきます。

精神的にも病み始め、男は「死んだ方がまし」とさえ思いはじめてしまいました。

死んでしまうなら、何かもっと良い方法があるかも知れない。

そう考えた男の思考は、そこからさらに恐ろしい方向へと展開していくことになります。

【転】人間椅子のあらすじ③

悩んでいる男のもとへ、外国人が経営するホテルの椅子を作る大きな仕事が舞い込みました。

その椅子を、男は食事や睡眠も忘れて没頭して作り、完成した頃には今まで感じたこともないほどの満足感を得ました。

自分が精魂込めて作った美しい椅子と、どこまでも行きたいと考えた男は、椅子の中に自分がちょうど入るスペースを作り、潜り込んでしまいます。

最初こそ、ホテルから人が出払ったタイミングで盗みを働き儲けてやろうとの考えがあった男ですが、椅子に初めて人が座った時にそんな考えは消えてしまいました。

座った人の温もりに不思議な感触を感じ、男はその世界へ溺れるように入り込んでいきます。

醜くて、気も弱い男が、これまで話すことさえなかった美しい人の声を間近で聞いたり、肌に触れたりと、男は椅子の中の経験に夢中になっていきます。

【結】人間椅子のあらすじ④

男は、手紙に懺悔をしたい旨を記していました。

これほどまでに充実した日々を送った男は、佳子に何を懺悔しようとしたのか。

それは、手紙の先に書かれていました。

男の居座ったホテルの経営者が変わることで、一般的な旅館へと改めるべく、様々な物品が競売にかけられることになりました。

無論男の入った椅子も競売に入っていました。

数ヶ月間外国人の感覚を味わい続けた男でしたが、どこか物足りなさも感じていました。

そして、日本人である自分は、日本人の相手でなくては感じ取れないものがあるかもしれないと考えた男は、今度は日本人の家に引き取られるかも知れないと、期待をしました。

見事な椅子ということで、買い手はすぐにつきました。

そして、男の椅子は、ある豪邸の書斎へと備え付けられるようになります。

書斎を使用している夫人は、非常に相性が良いように男は感じました。

次第に男は、夫人に自分を認識して愛して欲しいと望むようになり始めました。

この、男が恋い焦がれる夫人こそ、主人公である佳子なのでした。

男は前の晩から、手紙を書くべく椅子からでており、佳子に会うべく豪邸の周囲をうろついているそうでした。

もし男自身と会う意思が佳子にあるのなら、書斎の窓の鉢植えにハンカチをかけて欲しいと、手紙はそこで締め括られていました。

不気味に感じた佳子は、窓の方に目をやって身震いしました。

すると、ちょうどその時、女中が現在届いたばかりの手紙を運んできてくれたのでした。

佳子が震えながら開封すると、男の手紙と同じ筆跡で「私は日頃、先生の作品を愛読しているものです。別封で送ったのは私の拙い創作です。いかがだったでしょうか。表題は人間椅子、とつけたい考えです。」と記されていました。

人間椅子の解説(考察)

人間椅子の全体の流れとしては、非常にわかりやすくなっています。

しかし、不気味な手紙の内容などは、非常に江戸川乱歩らしい作品の構成にもなっています。

最後の場面で、実在する男なのか、それとも創作の話なのかというのが曖昧になっており、その部分でも非常に不気味さを演出しています。

果たして、男の話は創作だったのでしょうか?

それとも、事実の懺悔だったのでしょうか?

これを読んだあなたは、どちらの意見でしょうか?

人間椅子の3つのポイント

ポイント①人間のもつ醜さが非常にうまく表現されている

知られたくないけど、知って欲しいと言うような感覚が、「私」の手紙の内容から読みとれます。

この感覚は、人間誰しもが持っているものでもありますが、その価値観の差という部分で不気味さの演出がなされているとも感じました。

ポイント②江戸川乱歩の初期の作品

数々の作品や、シリーズを残した江戸川乱歩の初期の作品というので、江戸川乱歩の他の作品に通じる部分も見えきます。

興味を持っていただいた方は、他の作品も読んでみると面白いと思います。

ポイント③最後の事実か創作か確定できない面白さ

最後の場面での、事実か創作か確定できないようになっていると言う部分は人間椅子の大きな特徴です。

非常に考察のしがいがあり、同じ作品を読んだ人どうしで話してみるのも楽しいのではないかと思います。

人間椅子を読んだ読書感想

江戸川乱歩の特徴である、人間の影の部分というか、他者には見せない汚い部分が非常にうまく表現された作品だったと思います。

最後の部分で読者に考える余地を与えるのも、非常に面白い構成になっており、読んでいる時間も、読んだ後も楽しめる作品だと感じました。

文章自体も非常に読みやすいので、小説にまだ敷居の高さを感じている人にもおすすめできる作品だったと思います。

人間椅子のあらすじ・考察まとめ

主人公、佳子は美しい女性作家でした。

そんな佳子が毎朝の日課で夫を見送ったあと、自分にあてられた手紙を読むことにしていました。

その手紙の中に、他とは比較にならない、分厚い原稿用紙に書かれた手紙を発見しました。

小説の原稿のようにも見えましたが、「奥様」という書き出しから始まることで、なんとなく不気味さを感じながらも、自分への手紙であると判断した佳子は、手紙を読み始めます。

その手紙の内容は、とある男が椅子の中で生活しているという懺悔の内容となっていました。

この作品の面白さは、不気味さと言うのもありますが、やはり最後の場面の事実か創作かが分からない部分にあると思います。

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